アリシア:
「ブリジットって超良い人!何か仲良くなれそう!」
サマンサ:
「……あんなに食べたんじゃ、次体重計に乗るときは覚悟しなきゃね」
アリシア:
「う、考えてなかった……。
ブリジットが優しいんでつい……」
サマンサ:
「分かる分かる(笑)」
アリシア:
「……にしても、ジェイコブなんか鼻の下伸ばしちゃってさ~~」
サマンサ:
「ふふ。手を出したらアーサーが怒るよ」
アリシア:
「あ、マジ?そういう関係?
やっぱね。ちょっとビビッと来てたよ、あたし」
「アーサーの彼女?」
サマンサ:
「ううん」
アリシア:
「付き合ってんじゃないんだ?
あ、アーサーの片想いか!」
サマンサ:
「そういうわけじゃないんだけど……。
何て言うか、2人は悠久の愛!……って感じなの」
アリシア:
「ほええ?何それ?
不思議な関係ってこと?」
サマンサ:
「うふふ。そう、不思議な関係。
……はあ、何だか今日は、アリシアの個展に行った気分。
私、絵は詳しくないんだけど……凄いねアリシア!
あんな絵が描けるんだ。驚いた」
アリシア:
「へへん!もっと見たかったらまたアトリエに来なよ。
そんなに絵はないけどね!」
サマンサ:
「へえ?」
アリシア:
「たまーに真面目に描くこともあるけどさ。
職場では絵描くどころか他人の使ったパレット洗いばっかりだし。
……あたしには、個展なんて夢のまた夢だよ」
ブリジット:
「あ、ごめんなさい、今日は……!」
「ああ!こんにちは!」
「やあブリジット!
今日はお休み?それなら、明日また来るよ」
ブリジット:
「いいえ、常連さんですから特別に作っちゃいます。
どうぞどうぞ、座って」
「ありがとう。それじゃ、お言葉に甘えて一杯頂こうかな」
ブリジット:
「いつもので良い?」
「うん。
……あれ、この絵は?どうしたの?」
ブリジット:
「あ、これはね。
友達に頼んで描いてもらったの。
素敵でしょ?」
「うん、とても素敵な絵だ」
「僕に頼んでくれれば描いたのに」
ブリジット:
「ええ?でも1週間で10枚描ける?」
「描けないなあ」
ブリジット:
「ふふ」
「え、ということはお友達は1週間で10枚仕上げたんだ」
ブリジット:
「うん」
「大胆なタッチだね。独創性もある。
これ、描いたのは女の人でしょ。
いや、美大出たての女の子、かな」
ブリジット:
「そう!!当たってる」
「でも、迷いもある。
集中できていないような節も……。
まだ真剣に絵に向き合っていないのかな」
ブリジット:
「絵で分かる?」
「当て推量だよ」
ブリジット:
「ふ~ん。
こうやって眺める限り、そんなこと全然分からない」
「化けるな」
ブリジット:
「ん?」
「は~あ、やっぱりここのコーヒーが一番だよ。
他のは飲めなくなる」
ブリジット:
「ふふふ、ありがとう」
「(真剣に向き合ってない、か)」