ニュークレスト
『パッチーズ』
ブリジット:
「サマンサ!こっち!
待ってたよ!」
サマンサ:
「……!
どうしたの、その髪!」
ブリジット:
「うん、切っちゃった」
サマンサ:
「一瞬誰かと思った!随分思い切ったのね……」
ブリジット:
「長いの邪魔だったんだもん。
もっと切ってもらおうか迷ったんだけど、このくらいでやめておいたの。
どう?」
サマンサ:
「似合ってる。ブリジットらしい」
ブリジット:
「あ、それ、どういう意味?」
サマンサ:
「うふふ、とっても素敵って意味。
今日はね、これも素敵だけど――ビッグニュースがあるの」
ブリジット:
「ビッグニュース?」
サマンサ:
「うん。実は……」
ブリジット:
「えっ!?」
サマンサ:
「凄いでしょ?
フラットメイトの正体はイアン・ターナーだったの。
最近、アリシアにつきっきりで指導してる」
ブリジット:
「ふーん……偶然かな」
サマンサ:
「何が?」
ブリジット:
「あ、ううん!
チャンスはいつ巡ってくるか分からないものね」
サマンサ:
「そうね。
まさかフラットメイトが有名人だなんて誰も想像もしないよ。
アリシア、もうお休みの日にだらっとしてられないよね」
ブリジット:
「お休みの日はだらっとしなきゃ!
サマンサ、ちゃんと息抜きの時間取ってる?」
サマンサ:
「皆に同じこと言われるんだけど……」
ブリジット:
「……てことはしてないのね。
たまにパーッと遊んできたら?」
サマンサ:
「…………それがね、ブリジット。
ジェイコブから今度の土曜、ナイトクラブに誘われちゃって……」
ブリジット:
「へえ、良いね!どこのナイトクラブ?」
サマンサ:
「ウィンデンバーグに大きなクラブがあるでしょ。
ディスコティック・パン・ユーロパ」
ブリジット:
「ああ!あそこね。2人で行くの?」
サマンサ:
「そう。
だからちょっと……迷ってて」
ブリジット:
「えっ、どうして?行けば良いのに」
サマンサ:
「だって……。
私みたいな地味な女が行って良いの?
それに……服も持ってないし……」
ブリジット:
「……。
じゃ、食べ終わったら行こう!」
サマンサ:
「ど、どこへ?」
ブリジット:
「ちょっとそこまで!」
ニュークレスト
オプティミスト・アウトルック
ブリジット:
「サマンサ、こっちこっち!」
サマンサ:
「はあ……」
ブリジット:
「どんなのが良い?
サマンサもちゃんと見て!」
サマンサ:
「見てって言われても、どれにして良いやら……。
頭が爆発しそう。
知ってるでしょ?私こういうのよく分からないのよ」
ブリジット:
「うーんと……じゃあ、着てみたい服は?」
サマンサ:
「特には……。
何を着てくべきなの?」
ブリジット:
「舞踏会じゃないんだから、好きな服で良いんだよ。
……やっぱりサマンサはワンピースだと思う。
清楚なのも良いんだけどそれじゃつまらないし……。
うん、例えばあれなんかどう?」
サマンサ:
「え?……ちょっと派手すぎない?」
ブリジット:
「どこが!?
良いから試しに着てみて!」
サマンサ:
「(もっと地味なので良いんだけど……)」
「……どう?」
ブリジット:
「うんうん、似合う!」
サマンサ:
「本当に??」
ブリジット:
「うん!きっと着慣れないからそう思うんじゃない?」
サマンサ:
「そう………かな?
ていうか、これ行く流れになってない?」
ブリジット:
「当たり前でしょ!?
せっかく誘ってくれたのに断るなんてないよ。
でも、ちょっと物足りないね。
あとはそうだなあ……」
サマンサ:
「まだ何かやるの?」
ブリジット:
「勿論!
土曜は仕事帰りに行くんでしょ?
何時頃終わるか分かる?」
サマンサ:
「大体19時頃だと思う」
ブリジット:
「じゃあね、行く前にうちに寄って。
間に合うと思うけど、もし私の仕事が終わらなかったら連絡するね」
サマンサ:
「……分かった」