#24 「秘密」

アリシア:
「わーい、オムレツだあ~!
ヤットゥ~!ちょうど食べたい気分だったんだ♪」

ケイト:
「……あなたも少しは料理覚えなさい」

アリシア:
「ぎ、ぎくっ!」

「ま……まあまあ。
ところでケイトさん、今日はいつも以上にビシッとスーツ決まってるじゃ~ん?
何か重要案件でもおあり?」

ケイト:
「大アリよ。
私は今日は……女優にインタビューするの。
誰だと思う?コーデリア・アレンよ」

アリシア:
なぬー!?嘘ォ!?

ケイト:
「昨日眠れなかったわ。緊張で吐きそう」

アリシア:
「そっ、そんじゃマジなの!?
いつの間にそんな出世してたんだ!?
やった~っ!」

ケイト:
「喜んでる場合じゃないわよ。
知ってるでしょ?
彼女、とっても気難しいって有名なのよ」

アリシア:
「サインもらってきてー!!!」

ケイト:
「聞いてないわね、人の話を」

アーサー:
「……ところでサマンサは?」

ケイト:
「もう行ったわ。
……体調が悪いのにね」

アーサー:
「風邪?」

ケイト:
「みたい」

アーサー:
「そうか……。
最近少し疲れてるように見えたよ」

ジェイコブ:
「頑張りすぎだな」

アリシア:
「あたしもそう思~う」

ケイト:
「朝食もほとんど取らずに行ったのよ。
あれで一日持つのかしら……」

イアン:
「本当?心配だな。
僕、後で何か食べやすそうなものを見つけて買ってくる」

ケイト:
「あら、優しい。お願いします」

サマンサ:
「(……どうしよう……)」

妊娠検査薬は陽性を示した。
私の気持ちを無視して、頭の中でいくつもの選択肢が雑然と浮かぶ

産婦人科を受診しなくちゃ。いつ行く?
もし本当に妊娠していたら……生むか生まないか?
相談する?誰に?
1年目なのに研修はどうなっちゃうの……

「(産婦人科の受診。
……まずはそれから)」

「(…………けど、彼に話す?いつ話す?)」

「(妊娠したって言ったらどういう反応が返ってくるだろう?
今までも同じようなことをしてるのかもしれない。
もし堕ろすよう頼まれたら……)」

「(……どうする?
ママに相談してみる?)」

「(……駄目。
久しぶりに連絡するのにこんなこと……言えない)」

「ブリジット、お手伝いありがとう。
もうその辺にしてジェラートでも食べたら?」

ブリジット:
「ジェラート!?」

「そう。好きでしょ?」

ブリジット:
「大好き!」

「毎日毎日暑くてやんなっちゃうでしょ。
新商品を出してみようと思って。
だから、ちょっと味見してみて。
サマンサちゃんにも」

サマンサ:
「えっ、良いんですか?」

「勿論よ。お掃除手伝ってくれたんだから!
特製ジェラート、召し上がれ」

 

ブリジット&サマンサ:
「「わあー!」」

「まだ試作品なの。少し素っ気ないかもしれないけど許してね。
……ブリジット、悪いんだけど最後の鍵閉めだけお願いできる?」

ブリジット:
「はーい」

「ゆっくりしていって」

サマンサ:
「……初めて会ったけど、入院してたのが信じられないくらい元気ね」

ブリジット:
「うん。
入院前よりもピンピンしてるよ!
……ん~、冷たい!」

サマンサ:
「わ、濃厚!美味しっ」

ブリジット:
「これは大人気間違いなしだね!」

サマンサ:
「うん、最高!」

ブリジット:
「あ、そうだ。彼とはその後どう?」

サマンサ:
「えっ、別に何も……」

ブリジット:
「そうなの?
じゃあ、今度は思い切ってサマンサから誘ってみれば?」

サマンサ:
「彼、私には興味ないよ。
からかわれただけみたい」

ブリジット:
「えーっ、そうかなあ?」

サマンサ:
「……」

「……ブリジット。
私たちって何でも打ち明けられる仲よね?」

ブリジット:
「えっ?ふふ。なーに、改まって……」

サマンサ:
「……」

ブリジット:
「……どうしたの?」

 

サマンサ:
「ごめん、引いた……よね」

ブリジット:
「まさか。
それより、まだ彼は知らないのね」

サマンサ:
「そう。これから話すつもり。
だけど勇気がなくて……。
それに、話すだけ無駄なんじゃないかとも思う」

ブリジット:
「無駄って、どういう意味?」

サマンサ:
「彼の反応が怖いの。
向こうにとっては遊びだったのに……」

ブリジット:
「遊びだって言われた?」

サマンサ:
「言われてないよ。
言われてないけど……」

ブリジット:
「なら話してみないと分からないよ」

サマンサ:
「……きっと話し合いにもならない。
そんな気がする。
それに……私、気持ちが全然追い付かないの」

ブリジット:
「でも、まずは話さなくちゃ始まらないよ。
考えるのはそれから」

サマンサ:
「……うん」

ブリジット:
「大丈夫!
いざって時はジェイコブに飛び蹴りするよ」

サマンサ:
「あはは……(本気だろうな……)。
お願いすることになるかも」

ブリジット:
「私たち、親友でしょ。
遠慮なんかする必要ないんだよ」

サマンサ:
「うん……。ありがとう……」

 

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