アーサー:
「ジェイコブ、どうしたかな……。
昨日のはさすがにどうかなと思うけど」
ケイト:
「良いのよ。
門限破るのこれで何回目だと思ってるのよ。
あれくらいやれば少しは反省するでしょ」
アーサー:
「そうかな……」
アリシア:
「効き目なさそ~」
イアン:
「どこで寝たんだろう」
ケイト:
「シグザム星でしょ」
サマンサ:
「……」
アリシア:
「お……。大丈夫?」
サマンサ:
「おはよう。
もう平気。心配かけてごめんね。
アーサー、ゼリーありがとう。
美味しかった」
アーサー:
「あ、うん……」
ケイト:
「今日は仕事は?」
サマンサ:
「勿論行く」
ケイト:
「でも、まだ本調子じゃないでしょ。
休めないの?」
サマンサ:
「うん」
イアン:
「辛いな……」
アリシア:
「頑張っちゃって、また体調崩しちゃうよう……」
イアン:
「そうなる前にどこかでリフレッシュしなきゃ」
アリシア:
「オッホン!
やはり休みは重要!!ということですね!!
2泊3日で予定空く?」
アーサー:
「は?急に何を」
アリシア:
「や……や~だなあ。
キャンプ行こうって前言ったじゃん。
アンタはどうせ、ぼーっとしてて聞いてなかったんでしょ。
グラニット・フォールズの澄んだ空気と美しい自然に心癒される2泊3日……」
ケイト:
「旅行会社の宣伝文句みたいね」
イアン:
「グラニット・フォールズかあ!
これからの季節なら特に良さそうだね」
アリシア:
「ですよねですよね!?」
ケイト:
「言っとくけど2泊なんて無理よ」
アリシア:
「うっ……。
じゃあ1泊2日!」
ケイト:
「それなら、まあ……何とかね」
アリシア:
「サマンサは?」
サマンサ:
「私は……」
「分かんない……」
アリシア:
「え~っ」
アーサー:
「皆お前みたいに暇じゃない」
アリシア:
「な、何だって~!?」
アーサー:
「仕事行かなくちゃ」
ケイト:
「そうね」
アリシア:
「あっ、ずるい!
何だよ、皆ノリ悪いなあ~!」
サマンサ:
「(ジェイコブ、まさか昨日他の子と寝たの?
私の話聞いて、そういうことできるんだ)」
「(一人で有頂天になって馬鹿みたいだった。
映画に誘われて、デートに誘われて。
あの夜に囁かれた言葉に我を失って。
本当に馬鹿みたい)」
「(『ああいう』子たちはあれをどう受け止めてるの?
笑って流せる?冗談みたいに。
私にはできない)」
ジェイコブ:
「お前、面白えな」
サマンサ:
「(彼から見れば、私は騙しがいのある女で面白かっただろうな。
面倒で、重いって)」
「(産休を取得することはできる。
同期より大きく遅れを取ってしまうことになる。
それはもう仕方がないけど)」
「(妊娠というのは、もっと幸せな気持ちになるものだと思ってた。
どうしてこんなに思い悩まなければいけないの?
どうしてこんなかたちで……)」
「(悩むより考えよう。
とにかく今一番大事なのはお腹の子。
なんと言われようと生む。
だけど、どうするの?)」
「また選択肢が浮かんだ。
前より少ない選択肢の中から、迷いなく一つ取り出した」
「フラットを出る」