#30 「サマーホーム」

ブリジット:
「あ~、生き返る!」

サマンサ:
「本当。
行き倒れになるところだったね」

ブリジット:
「ふふふ。危うくね」

 

「……さて、サマンサさん。
本日は『ビッグニュース』があるそうですが?」

サマンサ:
「……はい。
私はこの度、ジェイコブ・ナイトレイさんと結婚することになりました」

ブリジット:
「えっ!!結婚!!」

おめでとうっ!!!

サマンサ:
「ありがとう。
一番にブリジットに報告したくて」

ブリジット:
「良かった。本当に良かった」

サマンサ:
「そうよね。
余計な心配させちゃってごめんね」

ブリジット:
「それは良いの良いの。
でも、ちょうど電話しようとしてたの。
ちゃんと言えたのかなあって思ってたから」

サマンサ:
「おっしゃるとおり、なかなか言えなかったけど……。
悲観してたのは私だけだったみたい。
あんなに泣いて思い悩んだのって一体何だったんだろう」

ブリジット:
「言ったら喜んでくれたのね?」

サマンサ:
「最初は驚いてた。
だけど……嬉しいって言ってくれた。
パパになるのが楽しみだってことも。
急展開でびっくりよ。
プロポーズを受けることになるなんて思いもしなかった」

ブリジット:
「泣いた?」

サマンサ:
「うん。
あのプロポーズは一生忘れられないと思う」

ブリジット:
「どんな言葉だったかは今日は聞かないでおくね」

サマンサ:
「うふふ。今言うのはちょっと恥ずかしい。
50年経ったら教える」

ブリジット:
「50年も先なの~?」

サマンサ:
「そう!」

ブリジット:
「そしたら50年後、忘れずに楽しみにしてる。
うーん……これでジェイコブも安全ね。
私の飛び蹴りを食らわずに済んだんだもん!」

サマンサ:
「あはは、本当ね!」

 

それから、ブリジットと話した後、私たちはフラットの皆に報告したの

アリシア:
「え?は?何?」

ケイト:
「…………」

アーサー:
「……」

サマンサ:
皆の驚いた顔。吹き出しそうになった

ジェイコブ:
「どうだお前ら。驚いたか」

アリシア:
「……………………脅されたの?」

ジェイコブ:
「何でだよ」

サマンサ:
「うふふ。違う違う」

イアン:
「おめでとう!」

ジェイコブ:
「へっへ。先生。
ありがとう、だぜ」

ケイト:
「これで合点がいったわ。
引っ越しってそういうことだったの?」

サマンサ:
「あー……ううん。
それはちょっと事情があってナシ。
私たち、ウィンデンバーグに引っ越すことにしたの」

アリシア:
「え~!やっぱり引っ越すんじゃん!」

サマンサ:
「ここは子ども禁止でしょ?」

ケイト:
「何も急がなくても良いじゃない。
もう少しいたら?いつ出産なの?」

サマンサ:
「予定だと3月」

アリシア:
「3月なんてまだまだ先じゃん!」

サマンサ:
「え……。でも」

アーサー:
「引っ越しは延ばせないのか?」

ジェイコブ:
「まあ……延ばせなくはねえな」

イアン:
「じゃあ、そうしなよ。
何かあったら僕らも手伝えるし」

ジェイコブ:
「ん?……気持ちはありがたいぜ。
でもな、お前ら仕事があんだろ。
頼むわけにはな……」

アリシア:
だーめー!
とにかく引っ越し反対~~~~!!

アーサー:
「……というわけだ。
諦めた方が良い」

サマンサ:
急に寂しくなるのが嫌なんだって。
私たちも……皆と別れるのは寂しい。
……結局2か月、いさせてもらうことになったの

…………そして、とうとう引っ越しの日になった

ケイト:
「行ってしまうのね。
せっかくイアンが入ったのに、また寂しくなるわ」

アリシア:
「ジェイコブ、浮気すんなよ~!
サマンサ、いつでも帰ってくるんだよ!」

サマンサ:
「ありがと。でも平気よ。
だって、しないよね。そんなこと

ジェイコブ:
「お、おう」

アーサー:
「気を付けてな」

サマンサ:
「ありがとう。
アーサーも、ブリジットと早く一緒に住んじゃえば?(笑)」

アーサー:
なっ!?何を言って……!!」

イアン:
「落ち着いた頃、遊びに行って良い?」

ジェイコブ:
「そりゃあ勿論。
エイリアン以外なら大歓迎だ」

 

ジェイコブ:
「ほら!
見えんだろ。アレだ、アレ」

サマンサ:
「あっ!あの家ね?」

 

ジェイコブ:
「到~着!」

「……どうだ?
こうして見ると結構良い家だろ?」

サマンサ:
「本当……」

「あっ!」

ジェイコブ:
「!?」

サマンサ:
「今お腹蹴ってる……!」

ジェイコブ:
「マジか!!」

サマンサ:
「あなたも気に入ったの?」

ジェイコブ:
「よしよし。分かるのか?賢い子だ。
俺たち家族3人、元気いっぱい楽しく暮らそうな」

サマンサ:
「あっ!また動いた!」

ウィンデンバーグ、サマーホームが私たちの家。
遊びに来てね

 

Leave a Reply