#19 「フラットメイト」

サマンサ:
新緑の季節になり、新しいフラットメイトを迎える日がやってきた

「ん……?」

「(あっ、あのトラックは……!)」

「そっちに運んでください」

「はい」

「ああ、それでこっちは……」

サマンサ:
「(何だか落ち着かないな)」

「…………」

「(あ、トラックがない)」

「(まだ下にいるのかな?)」

「こんにちは」

サマンサ:
「あっ、こんにちは……!
入居される方、です……よね?」

「(あれ?どこかで見た顔…………あっ!!)」

イアン:
「うん。
今日からなんだ。
よろしく。僕はイアン・ターナー」

サマンサ:
「サマンサ・ハワードです。
ほかの皆はあいにく仕事で出てまして、まだご挨拶できませんけど」

イアン:
「ハハハ。そんなに堅くならなくても。
夜には揃うの?」

サマンサ:
「多分……」

イアン:
「そっか。
じゃあ、それまでに片付けを終わらせないと」

サマンサ:
「良かったら、何かお手伝いしましょうか?」

イアン:
「えっ、本当?
あ、そうだ。聞きたいことが」

「荷物、とりあえずここに置かせてもらっちゃったんだけど、良いかな」

サマンサ:
「アトリエは共有スペースなので、大丈夫です
(何でこのフラットに……)」

「…………あの、画家さんですよね?
『光彩』を描いたイアン・ターナーさん?」

イアン:
「うん、そうだよ」

サマンサ:
「(そうだよって……)」

イアン:
「画家志望の子がいるんだよね?」

「あはは、面白い絵を描くねえ」

サマンサ:
「ああ……いますけど……」

イアン:
「大家さんから聞いたんだ。
会うのが楽しみでね」

サマンサ:
「その子、あなたのファンです。
一体どんな顔をするか……」

イアン:
「あ、そうなんだ?嬉しいなあ。
じゃ、ちょっと驚かせようか」

サマンサ:
「?」

イアン:
「どうせならね、ふふふ」

 

サマンサ:
何も知らないアリシアは、今日という日に限って、
他の皆が寝てしまった後に帰ってきたのだった

アリシア:
たでーま!!すっかり遅くなっちまったい!(大声)」

「ラマラマラーマ♪ランランラン♪
(さーてと!
熱意が冷めないうちにちょっくら作業すっか!)」

「ん!?(……くんくん!!)
あたしのアトリエに誰か入ったな!?」

「(あんなとこにゴミ箱置かないし~)」

「(ちょっとだけ部屋がきれいになってるし~)」

「(ははーん、分かった。
ジェイコブだな。あたしにはお見通しだぞ。
へへ、なんだかんだ、あいつがいると楽だね。
掃除してくれるもん)」

「(ヒッヒッヒ、これで心置きなく創作活動できるってもんだよ……)」

「へ!?」

「……あ……あたしの作品は……?
ジェイコブ、UFOの絵描いたからって取り外さなくても」

「(……違う!!
何これ?この鮮やかなタッチは……)」

「「嘘ーっ!?」」

ウィンデンバーグ
サウススクエア・コーヒー

アリシア:
「いやマジマジマジ。あたしもまさか~と思ったんだけどマジだったの!
いや、だから同姓同名とかじゃないって。ホ・ン・モ・ノ!
あたし気を失いそうになっちゃって。
今朝挨拶したんだけど、ろくに顔合わせらんなかったし!」

オリビア:
「超羨ましい~!!
イアンが越してくるなんて、あたしもカフェに絵飾らせてもらおうかな」

アリシア:
「だーめ!あたしだけ!」

スカーレット:
「というか何でわざわざフラットに?
お金なんていくらでもあるわけでしょ?
何か理由があるの?」

アリシア:
「だよね!それ、皆言ってた!
でも、誰もツッコめないわけよ」

オリビア:
「あたしはもうそんなんどうでもいいから絵のモデルになりたい……。
イアンのためなら脱げる、あたし……」

アリシア:
「知らんうちにトリップしてる……」

スカーレット:
「放っておきましょう……」

 

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