サマンサ:
「新緑の季節になり、新しいフラットメイトを迎える日がやってきた」
「ん……?」
「(あっ、あのトラックは……!)」
「そっちに運んでください」
「はい」
「ああ、それでこっちは……」
サマンサ:
「(何だか落ち着かないな)」
「…………」
「(あ、トラックがない)」
「(まだ下にいるのかな?)」
「こんにちは」
サマンサ:
「あっ、こんにちは……!
入居される方、です……よね?」
「(あれ?どこかで見た顔…………あっ!!)」
イアン:
「うん。
今日からなんだ。
よろしく。僕はイアン・ターナー」
サマンサ:
「サマンサ・ハワードです。
ほかの皆はあいにく仕事で出てまして、まだご挨拶できませんけど」
イアン:
「ハハハ。そんなに堅くならなくても。
夜には揃うの?」
サマンサ:
「多分……」
イアン:
「そっか。
じゃあ、それまでに片付けを終わらせないと」
サマンサ:
「良かったら、何かお手伝いしましょうか?」
イアン:
「えっ、本当?
あ、そうだ。聞きたいことが」
「荷物、とりあえずここに置かせてもらっちゃったんだけど、良いかな」
サマンサ:
「アトリエは共有スペースなので、大丈夫です
(何でこのフラットに……)」
「…………あの、画家さんですよね?
『光彩』を描いたイアン・ターナーさん?」
イアン:
「うん、そうだよ」
サマンサ:
「(そうだよって……)」
イアン:
「画家志望の子がいるんだよね?」
「あはは、面白い絵を描くねえ」
サマンサ:
「ああ……いますけど……」
イアン:
「大家さんから聞いたんだ。
会うのが楽しみでね」
サマンサ:
「その子、あなたのファンです。
一体どんな顔をするか……」
イアン:
「あ、そうなんだ?嬉しいなあ。
じゃ、ちょっと驚かせようか」
サマンサ:
「?」
イアン:
「どうせならね、ふふふ」
サマンサ:
「何も知らないアリシアは、今日という日に限って、
他の皆が寝てしまった後に帰ってきたのだった」
アリシア:
「たでーま!!すっかり遅くなっちまったい!(大声)」
「ラマラマラーマ♪ランランラン♪
(さーてと!
熱意が冷めないうちにちょっくら作業すっか!)」
「ん!?(……くんくん!!)
あたしのアトリエに誰か入ったな!?」
「(あんなとこにゴミ箱置かないし~)」
「(ちょっとだけ部屋がきれいになってるし~)」
「(ははーん、分かった。
ジェイコブだな。あたしにはお見通しだぞ。
へへ、なんだかんだ、あいつがいると楽だね。
掃除してくれるもん)」
「(ヒッヒッヒ、これで心置きなく創作活動できるってもんだよ……)」
「へ!?」
「……あ……あたしの作品は……?
ジェイコブ、UFOの絵描いたからって取り外さなくても」
「(……違う!!
何これ?この鮮やかなタッチは……)」
「「嘘ーっ!?」」
ウィンデンバーグ
サウススクエア・コーヒー
アリシア:
「いやマジマジマジ。あたしもまさか~と思ったんだけどマジだったの!
いや、だから同姓同名とかじゃないって。
ホ・ン・モ・ノ!
あたし気を失いそうになっちゃって。
今朝挨拶したんだけど、ろくに顔合わせらんなかったし!」
オリビア:
「超羨ましい~!!
イアンが越してくるなんて、あたしもカフェに絵飾らせてもらおうかな」
アリシア:
「だーめ!あたしだけ!」
スカーレット:
「というか何でわざわざフラットに?
お金なんていくらでもあるわけでしょ?
何か理由があるの?」
アリシア:
「だよね!それ、皆言ってた!
でも、誰もツッコめないわけよ」
オリビア:
「あたしはもうそんなんどうでもいいから絵のモデルになりたい……。
イアンのためなら脱げる、あたし……」
アリシア:
「知らんうちにトリップしてる……」
スカーレット:
「放っておきましょう……」